やさしい英単語を組み合わせるより、難しい英単語を覚えた方が簡単な理由

やさしい英単語を組み合わせる

難しい英単語をウンウンうなりながら覚えていると、そのうち「あれ、既に知っている『基本動詞』と『名詞』を組み合わせた方が、簡単に意味を表せるぞ!」という事実に気づきます。

「have」や「get」などの基本動詞と、その他の単語を組み合わせれば、確かに難しい単語や、綴りの長い単語を覚えることなく、多くの意味を言い表すことが可能です。
また書店に行くと「たった1週間で英単語をマスターする!」とか、「英単語は基本動詞と名詞の組み合わせで十分!」といった魅力的なタイトルの参考書があふれています。

しかし、語彙を増やすというのは、スポーツで言えば「基礎トレーニング」にあたる地道な努力を必要とする作業です。そう簡単にマスターできるものではありません。
だからこそ、この英会話のスキルを身につけた人には、他の人には無い大きなアドバンテージが与えられるのです。

これは、英会話以外の分野についてもいえる事です。他の人から一歩抜きん出ようと思えば、それ相応の代償が必要なのは仕方ありません。

ネイティブは基本動詞だけで話してくれない

ネイティブのニュースキャスターや一般人は、基本動詞の組み合わせで話そうという意識がほとんどありません。むしろ、難しくても一語で終わらせる事のできる、綴りの長い英単語を積極的に使います。これは、私たちの日本語による普段の会話を考えてみれば良くわかります。例えば、「自動車をスピードを出して乱暴に運転する」というより「暴走運転する」といった方が分かりやすく意味も伝わりやすいというのと同じです。

つまり、「基本動詞+名詞」という発想は、あくまでしゃべり手が「多くの英単語を使わずに少ない単語で話す事が出来る」という、発信者の都合だけで考えついた身勝手な方法でしかないという訳です。
自分が話している時はなんとか意味を伝える事ができますが、相手が言っている事が分からないのであれば会話は成立しません。その都度、一々意味を聞き返すつもりでしょうか。

英語でもなんでも同じですが、「難しい」とか「苦手だ」といった気持ちを抱えながら取り組んでいては、いつまでたっても上達はおぼつきません。ここは積極的に、「どんな難しい単語でもどんと来い!どうせ英語も同じ人間が使っている普通の言語じゃないか!」といった前向きな取り組み姿勢こそ、英会話を上達させる大きな鍵となります。

やさしい英単語の組み合わせでは、かえって混乱を招く

またその他にも、この「基本動詞+名詞」の表現方法には大きな欠点が2つあります。

1つ目の欠点は、基本動詞に多くの名詞を組み合わせるというスタイルのため、「意味は違うのに形は似ているといった表現が無数に存在してしまう」という事です。
その結果、表現のバリエーションが増えれば増えるほど頭の中が混乱して、かえって使い勝手の悪い表現方法となってしまいます。

名詞の意味を表せない

2つ目の欠点は、「やさしい英単語の組み合わせで難しい英単語の意味を表すという表現方法は、動詞には使えるが名詞には使えない」という事です。
名詞というのは、そのもの唯一にそれぞれ用意される単語のため、意味を正確に表現するには、そのものだけのユニークな英単語が必要になるからです。

たとえば「洗濯機」は「Washing machine」と綴りますが、これ以外の勝手な表現では意味をなしません。