リスニング優先の英語学習に必要なのは、「聞き取り力」「読解力」「作業記憶」の3つの能力ですが、この中の「読解力」に欠かせないのが「語彙力」です。
またこの語彙力には、単語を理解する力、熟語を理解する力、短い文章を理解する力などが含まれます。
そこで今回は、この「語彙力」を効果的に身につけるコツについて解説したいと思います。
単語と熟語を分けるのは効率が悪い
我々が学生の頃は、単語、熟語それぞれに専用の参考書があり、勉強する際にも、当然のようにこの2つを区別して学習していました。ノートや単語カードを作る時は、単語と熟語を違うノートに分け、几帳面にも分類・区別する手間をわざわざ別に掛けながら勉強するのです。
しかし、このような区別は単に参考書業者側の都合によるもので、大した意味はありません。実際には余分な手間と時間が掛かるだけで、大きく学習の効率を低下させています。
それでも学生の時は、熟語だけ、単語だけというように別々に意味を問うテストもありますので、まったく無意味ともいえません。
しかし、我々、大人がこれから忙しい時間の合間を見つけて、実践的な英語力を付けていこうとする場合は、非常に効率の悪い勉強方法といえます。
基本文型もいらない
これは「S+V+O+C」で表される基本文型についても言えます。Sが主語で、Vが動詞、Oが目的語、Cが補語などとこれから勉強してなんの意味があるのでしょう。
40を過ぎた私たちが、限られた時間を使って英語を勉強するには、いかに無駄な作業を減らして、効率よく英語を勉強するかという事がとても大切です。すでに、学校を卒業して何年も経っているのですから、このように英語をわざわざ難しくしているだけの受験用学習法はさっぱりと忘れてしまいましょう。
語彙力を増やすには地道な学習が欠かせない
リスニング力を付けるには語彙力が欠かせないのは、先ほども言った通りです。この語彙力には「単語力」「熟語力」「短い定型文の意味を読み取る力」が含まれます。
そしてこの情報量は膨大な量に及びます。また、タイトルで「覚え方のコツ」と銘打っているので、実際に短時間で手軽に語彙力を身につける方法を期待している方もいるかもしれません。
しかし、この語彙力を増やすためにはどうしてもその情報量に見合った膨大な勉強時間が必要になります。これはスポーツで言う所の「基礎トレーニング」ですので習熟には地道な作業が避けられません。「コツ」というのは単に「効率の悪い無駄な作業を減らしましょう」といった程度の意味ですが、ただ、この無駄な作業が意外と馬鹿にならないのです。
パソコンやスマートフォンを使った効率の良い学習法
熟語と単語を分けないというのも効率を上げるための有効な方法ですが、ここでもう一つ、パソコンやスマートフォンを使うことで効率を上げる方法を紹介します。
我々が学生時代に使っていた単語カードですが、これには大きな欠点が5つあります。
一つ目は、カードが小さいため長い文章は書き込めないという点です。実際には、熟語用の大きなカードも発売されていますが、これを使うと、「単語と熟語を区別しない」という最初に紹介した効率化が出来なくなってしまいます。
二つ目は、覚えてしまった意味を削除して新しい内容を追加するには、リングを外してカードを付け替えるという余計な作業が必要になるという点です。
三つ目は、一度に持ち運べる情報量に物理的な制約があるという点です。単語カード自体は小さいですが、鞄に何十個も入れて持ち運ぶのは事実上不可能です。
四つ目は、パソコンのような検索機能が使えないので、あの単語を見たいとなった時に瞬時に探すことはできません。
五つ目に、手書きで書き込むため、スピードが遅く、訂正や加筆にも物理的な限界があるという点です。コピーアンドペースト機能も使えません。
このような数々の欠点を抱えている単語カードですが、実はみなさんの身近にある別の道具を使うことで、こういった欠点を解消する事ができます。その道具とは、最近になって急速に普及してきた「スマートフォン」や「パソコン」です。
次回のコラム「英単語と英熟語の覚え方とコツ(実践編)」では、このパソコンやスマートフォンを使った効率的な学習方法について具体的に説明していきます。