英語には、発音が同じで意味が違う「同音異義語」が極端に少ないという特徴があります。
日本語には同音異義語が多い
対して日本語には、英語と比べるとこの「同音異義語」が多く使われています。
例えば「雲」と「蜘蛛」、「端」と「橋」などは、イントネーションまで同じなので耳から聞いているだけでは判別がつきません。
この「同音異義語」を判別するには、文章の前後関係から流れを読み取るか、漢字などの表意文字を使うしかありません。
逆にいえば、日本語にはこの漢字という「表意文字」があるため、発音の同じ言葉が多くてもしっかりと意味の違いを伝えることが出来るのです。その結果、今のように「同音異義語」が多く使われようになったという事も言えます。
同音異義語では正確な意味が伝わらない
それに対して英語は「表意文字」の日本語と違い、発音で意味の違いを表す「表音文字」のグループに属しています。
そのため、似た様な音の言葉の違いを表すためには、発音の種類が少ないと都合が悪く、意味を正確に伝える事が出来なくなります。
例えば「think」と「sink」の場合は、「th」の発音の違いから意味を使い分けていますが、この「th」の発音は普段日本人が使わないような特殊な方法を使います。
中学生の時に何度も繰り返し練習させられた、「舌先を歯と歯の間に軽く挟んで発音する」というアレです。
言葉への深い情熱から生まれた発音の数々
普通に考えて、この発音方法をトリッキーすぎると思うのは僕だけではないと思います。
想像するに、「言葉の意味を正確に伝えたい」という強い情熱から、舌を出したり入れたりしている内にある日突然ひらめいたのかもしれません。意味の違う同じ発音の言葉をなんとか使い分けようとした、当時の人々の苦労が伺えます。
単純な発音方法では、言葉の意味を表しきれなくなっていた太古の英語圏の人々は、こうやって少しずつ発音できる言葉の種類を増やしていきました。
結果的に、表意文字を使っている日本人と比べると、数多くの発音方法を持つに至ったという訳です。
言語の背景を知る
このように英語と日本語には歴史的に大きな違いがあるため、私たち日本人が英語の発音を習得するのに苦労するのも無理はありません。
ただ、「なぜ英語の発音が複雑で多いのか」という理由を知れば、「無駄に発音が多くてめんどくさい言葉」という意識がなくなり、「合理的で興味深い言語」という、語学学習に書かせない強い興味を持つ事ができます。また「無駄な事をやっている」という意識は勉強の効果を大きく下げるものですから、こういった言語の機能的な面をしっかり知ることも大切です。