あなたが英語の会話を理解できないのは、英語能力が足らないからでしょうか?
いいえ、必ずしもそうとは限りません。もっと大切なのは、状況や聞き取れる単語から大まかな意味を理解する「推理力」です。
小さな子供は推理力を使って会話を理解する
このことについて分かりやすい例があります。それは、あなたの周りにいる小さな子供たちの会話です。
まだ、片言しか話せないような小さな子供は、会話で自分の考えを正確に伝えることはできません。しかし、親が話す言葉はなんとなく理解しています。「これはお姉ちゃんのお菓子だから、〇〇ちゃんが食べたら駄目でしょう!」といったある程度複雑な会話でも、自分が怒られていることや、お姉ちゃんのお菓子を食べた事が悪い事だという事をぼんやりと理解しています。
これは、当然、その会話の内容を正確に聞き取っている訳ではありませんが、自分の理解出来る単語と、周りの状況を考え合わせて「推理力」で大まかな意味を掴んでいるのです。
私たちも小さな子供の頃は、この推理力をフル活用して、お父さんやお母さんの会話を理解していたはずですが、いつしか、小学校に上がってどんどんと語彙力や文章の構成能力が上がってくると、反比例するようにこの能力も小さく衰えていきます。
実は大人にもこの推理力は残っている
ただ、この推理力は失われた訳ではなく、大人になった今でも相手の言う事を理解する為に大いに使われています。
特に日本語の場合は、英語のように文章で正確に意味を表すのではなく、相手の仕草や表情、行間の間に隠された意味、周りの状況などから類推をする事で意志のやり取りをする言語です。
また、大人になれば、相手の育った環境や能力で伝える言葉や表現も微妙に変わってきます。
そのため、みなさんも無意識の内にこれらの言葉の揺らぎを排除して、脳内で大まかな意味を推理して会話を理解しているのです。
英語で推理力が発揮されないのはナゼ?
ただ、これが英語の勉強となると、急に「正確に一言一句もらさず理解しなければならない」といった強迫観念のようなものに捕われてしまい、せっかくの柔軟な推理力も発揮されません。
おそらく、学生の頃に学んだテスト型の詰め込み教育の弊害でしょうが、皆さんはすでに卒業され自由な発想が許される立場です。単語の意味が少し違っていようが、聞き取れない音があろうが点数を引かれることも、先生に怒られることもありません。
ここは自由な小さい子供時代に戻って、聞き取れる単語や周りの状況から大まかな意味を推理する事を心がけましょう。次第に、柔軟な推理力が戻ってくるはずです。