英語を話す(スピーキング)という行為は、瞬時に適切な単語を選択し、適正な文法に則って文章を組み立て、正しい発音で話すという複雑で難易度の高い作業です。
スピーキングから始めると挫折してしまう
これを中学レベルの英語もあやしい大人に、いきなりやらそうとするのは無理があります。しかし、英会話学校を始めとする社会人のための学校やオンラインスクールなどでは平気でこれをやらそうとするのですから、英語が苦手な人がどんどん増えてしまうのも仕方がありません。
英会話学校に行って学ぼうと考えている大人の方も、学生時代はついに英語を話せるようにはならなかったが、テストの点を取るのと英語がしゃべれるようになるのは別だとばかりに、安易な考えで、実は難易度の一番高い英会話(スピーキング)から始めるものですから上手く行くはずがありません。結局、無駄に高い学費を払い込むだけで、そのうち学校に足が向くことも無くなります。
大切なのは簡単な基礎から始める事
これはスポーツでもよく見られる光景で、例えばスノーボードの上手な人に誘われて雪山に来たのは良いが、ちょっと初歩的な滑り方を教えてもらっただけで、後は頂上にほったらかしにされているようなものです。実はこれは私の体験談なのですが、当日はヘトヘトになっただけで大して技術は向上しませんでした。ところが、後日スクールで初心者用の基礎を教えてもらうと、たった1日ですぐに滑れるようになりました。もしこの最初の日に諦めていたら、一生スノーボードをしようなどとは思わず、嫌な思いでだけが残ったかもしれません。
これは、英語の学習でも同じです。簡単で基礎的な部分から順を追ってマスターしていく事が、結果的には近道になります。また、小さな達成感を得る事で勉強のモチベーションを保つことができます。
日本語で英語の文法を学習する
その基礎的な部分の学習とは、もちろん英会話(スピーキング)の事ではありません。まずこの、英会話は簡単だという幻想と、英会話のマスターこそ英語学習の全てだという幻想を捨て去る必要があります。
英会話は英語学習の最終ステージであって、決して入門者が手軽に始められる分野ではありません。「英語が話せたらかっこいいだろうなあ」という気持ちは良くわかりますが、まずはこれを切り替えて「英語が理解できたらいいなあ」から始めましょう。
その為には、日本語の回路で頭がガチガチに固まっている大人に合わせて、日本語で文法をしっかりと頭に入力してやる事が大切です。つまり、これが英語の基礎練習というわけです。