英語の発音を練習する際によく言われるのが、「現地に行って英語の環境にどっぷりと浸かるのが一番効果的な発音の練習になる」というものや「英語の発音を練習するには日本語を排除した環境でネイティブの先生に教わるのが良い」といったものです。
しかし、これは大きな勘違いで、実際に現地で何年も通訳のガイドをしている日本人でも、正確な発音をしている人はそう多くありません。
発音の練習には理論的な情報が必要
頭の硬くなった大人が正確な発音を習得するには、CDやネットでネイティブの正確な発音を聞くだけでは不十分です。それにくわえて、頭で理論的になっとくする為の情報が必要になります。
大人になってから、耳から聞くだけできれいな発音を習得できる人もいますが、そういった人は始めから音に対して人並み以上の才能を持ち合わせている人です。
これは新しくスポーツを覚える時も同じで、ただ上手な人のプレイをDVDで見ているだけでは、何時間たっても上達しません。
それと同時に、教本などでしっかりとした理屈を頭にいれる事が必要です。
ところが巷にある社会人のための英会話学校では、ネイティブの発音を聞くのが一番良いとばかりに、何時間もネイティブの先生の英語を聞かされるだけです。
しかも、これに対しての日本語による解説や教本は全く与えられません。それどころか、授業の間は日本語が禁止されている場合も多いです。
日本人が英語の発音を苦手な理由
ここでちょっと日本人が英語の発音が苦手な理由を考えてみたいと思います。
日本語の発音は表情筋を全く使わないという特徴がありますが、これは、あまり表情を顔に出さないという文化的な理由も大きいです。
そのため、口を大げさに動かして発音する必要がある音は省略されます。例えば、「おとうさん」を発音する場合、普通は「おとーさん」と「う」のところで力を抜くのが一般的です。
「う」をはっきりと発音しようとすると、表情筋を大げさに使って「う」と発音する必要があるので省略されているのです。
これに対して、英語圏では表情筋を大げさに動かして話すのが一般的です。ハリウッド映画等を見ていると美しくおとなしそうな女性が、唇をめくり上げるようにしゃべるのでびっくりする事がありますが、これが日本語と英語の大きな違いなのです。
カタカナ英語を理論的な教本として使う
この発音の違いを矯正する為に、最初に言及した理論的な教本となるのが「カタカナ英語」です。
日本人のぎこちない英語の発音を揶揄する言葉として「カタカナ英語」というものがありますが、今回教本として使うのはこれとは似て非なるものです。
私たちが普段会話の中で使っている「カタカナ英語」は、本来の英語の発音から離れてしまっているものもありますので、教本としてカタカナ英語を使う際は、自分でCDを聞きながら、その都度英語の発音をカタカナに直して行くという作業が必要になります。ただ、この聞きながら書くという作業は、脳への情報の定着を促進させるという効果がありますので、無駄な作業にはなりません。
例えば、雪を表す「SNOW」については日本的な発音の「スノー」ではなく、「スノウ」がより英語の発音に近いカタカナ表記になります。
この自分で作り上げたカタカナ英語と、CDなどの音声教材を併用する事で、スポーツの場合の、映像教材と教本の関係のような効果的な練習が可能となります。
もちろん、これはこのカタカナのまま発音するという訳ではなく、あくまでも正確な英語の発音をサポートするための道具という事をお忘れなく。