前回のコラム「会話優先による英語学習の3つの問題点」では、リスニング優先の学習がどれだけ効率が良い学習方法なのか解説してきました。
そこで今回は、実際にリスニング学習を行う時に、オススメしたい英語教材について紹介したいと思います。
CDによる音声教材の問題点
リスニング用の英語教材といえば、すぐに思い浮かぶのがCDなどの音声教材です。昔はカセットテープなどで販売され、私たちが子供の頃から使われています。このおなじみの英語教材ですが、実際にリスニング教材として使うには、少々物足りません。
まず内容が単純なものが多く、時事英語などの日常会話で良く使う英単語もそれほど使われていないので、自分のレベルより高い日常会話を勉強するというリスニングの目的に合いません(詳しくは「会話優先による英語学習の3つの問題点」を参照)。つまり、普段使う生きた英会話が学べないのです。
また、CD等の音声教材は何度も繰り返して聞くことで英会話を理解するという勉強方法を取る為、いつまでたっても実際の英会話を理解できるようにはなりません。
確かに、CDを聞いて分からない単語を調べ、さらに何度も繰り返して聞いていれば、その内、会話の内容は理解できるようになってきます。
しかし、これは何度も聞いている内に、徐々に頭の中にその会話の意味が蓄積され、固定された会話内容にも慣れて聞き取れるようになっているだけです。英語力が向上している訳ではなく、単にその英会話の内容を覚えてしまっただけにすぎません。
さらに、この学習方法のもう一つの大きな問題点は、その英会話が下手に理解できてしまうために、誤った自信を持ってしまう事にあります。自信を持つことはある意味で大切なことですが、誤った自信により、間違った学習方法を続けることになれば、実際の英会話に触れた時には全く対応する事ができません。その場合は、大きな挫折を味わうとともに、膨大な時間も失い取り返しのつかない結果になってしまいます。人によっては、英語学習自体を諦めることになるでしょう。
オススメしたいリスニング教材はテレビ番組
そういった事態を避けるためにも、オススメしたいのは英語放送によるテレビ番組です。具体的にはCNN等のニュース放送、ディスカバリーチャンネルなどのドキュメンタリー番組、英語によるテレビドラマです。
では、この3つのテレビ番組をどうリスニング学習に使うか順を追って解説していきます。
CNN等のニュース放送
CNN等のニュース放送は、ケーブルテレビや衛星放送を契約する事で視聴することができます。またホームページでは一部の番組を無料で見ることも可能です。当然ですが、視聴する際には日本語字幕や同時翻訳をオフにしておきます。
例えば、世界であなたが気になるような大きな事件が起きたとします。すると、あなたは当然何度もニュースや新聞でそのニュースを見るでしょう。そうすれば、大体の事件の概要は頭の中に入っているはずです。
そこで次に、英語によるニュースを視聴します。事件の内容は大体頭に入っていますし、テレビの場合は映像という理解を助けてくれる道具があります。内容が多少高度であっても、理解できない単語をある程度類推・推理しながら視聴していくことができます。
また、興味のある事件ですから、その後何度も視聴する事になり、何度も繰り返し出てくる言い回しや単語などは自然に覚えてしまいます。しかし、同じ内容といっても日々の細かな変化が加わり、また、レポーターによっても言い回しが異なるため、CDのような固定化された内容になる事はありません。
その内、同じ事件の内容なら簡単に聞き取れるようになってきます。さらに、同じジャンルの似た様な単語が出てくるニュース内容も理解できるようになり、本当の自信が持てるようになります。
ディスカバリーチャンネルなどのドキュメンタリー番組
ドキュメンタリー番組の場合は、あなたの好きなジャンルの番組を見つけ、まず一度日本語字幕をオンにして気楽に視聴します。この時、好きなジャンルであれば、ある程度全体の内容が頭に残るはずです。
次に字幕機能をオフにして、英語音声だけで視聴します。大まかな内容は頭に残っていますから、難しい言い回しや単語が出て来てもある程度、類推ができるはずです。
面白ければもう一度見ても構いませんが、無理に3回視聴する必要はありません。これを、好きなジャンルを中心に繰り返せば、ニュースと同じようにあなたの英語力は徐々に向上していきます。
英語によるテレビドラマ
テレビドラマの視聴方法は、ドキュメンタリー番組と変わりません。ただ、違うのはその内容です。テレビ番組は内容によっては、実際にアメリカ人が日常で使っているような言葉が頻繁に飛び出してくるので、生きた英会話を学ぶにはピッタリです。しかし、特にアメリカのケーブルテレビが制作したような番組は、スラングのような汚い言葉が頻繁に出てきますので、実際に使う際には、その言葉の意味をしっかり調べ、相手に失礼な発言にならないように気をつける事が必要です。